学習の5段階目について
前回、学習の4段階を基に流通業の原理・原則を得られるのが、販売士(リテールマーケティング検定)だと説明しました。
今日は、学習の5段階目についてお話します。
その前に、会社で必要とされる販売員とはどんな人でしょう?
もちろん、たくさん売る力を持った人ですね。
たくさん売る力だけがあればいいのでしょうか?
ここで、問題です。
ある会社に二人の異なるタイプの優秀な営業マンがいます。カリスマ営業マン甲さんとNo,2の乙さんです。この二人とその他20人の普通の営業マンで構成された組織があるとします。
普通の営業マンの売る力を100(個)とします。そして、甲さんも乙さんも、組織をまとめる力はあるとします。
カリスマ営業マン甲さんは、一人で1000(個)売る力を持っていますが、その卓越した力を人に説明するのが苦手で、結果として部下を育てられないとします。
乙さんは、一人で300(個)売る力を持っていますが、売るための原理・原則を理解しており、どんな部下でも150(個)売る力をつけさせることができるとします。
さて、二人のうち一人を、組織をまとめる指導者として昇格させることになりました。会社はどちらを昇格させるでしょう。
……お分かりですね。
【甲さんを昇格させた場合】
乙さん(300)+普通の営業マン(100×20)=2300(個)
【乙さんを昇格させた場合】
甲さん(1000)+普通の営業マン(150×20)=4000(個)
売ることができるだけでなく、売ることができる人を育てる力が必要だと解りますね。
そして、よくあることですが、売る力が強ければ強いほど、現場から外しにくいという状況も発生します。皮肉ですね。
さて、話を戻しましょう。学習の5段階目は、無意識に実行していることを有意識レベルに落とし込むことです。
どういうプロセスで売ることができているか、原理・原則として説明できることが必要となります。
そして、原理・原則として理解しているかを測るのが、リテールマーケティング検定試験なのです。
いかがでしょう。販売士の資格を持っていれば必ずカリスマ営業マンになれるわけではありません。そしてカリスマ営業マンが必ず販売士の資格を持っているわけでもありません。
しかし、販売士の学習によって流通業の原理・原則を知ることの意味は理解できたのではないでしょうか?
現在、販売士の資格取得を奨励する会社が増えています。その会社はそのことに気づいているのかもしれません。